ウイスキーの種類
『Kind of whisky ~ウイスキーの種類~』
ウイスキーにはいくつもの種類や製法があります。
この種類を知るとよりウイスキーの楽しみ方が増えると思いますよ!
「ウイスキー」の名称は、ゲール語で「命の水」という意味に由来します。
大麦、ライ麦、トウモロコシなどの様々な種類の穀物を麦芽の酵素で糖化し、
これを発酵させ蒸留したものです。
(詳しくは「モルトウイスキーが出来るまで」をご参照ください。)
1.モルトウイスキー 【Malt whisky】
◆そもそも「ウイスキー」というのは、この「モルトウイスキー」から始まりました。
大麦麦芽(モルト)のみを原料とするもをさし、一般的に、単式蒸留器(ポットスチル)で2回(ないし3回)蒸留します。
このモルトウイスキーは、少量生産に適合的で、伝統的な製法です。もっとも、大量生産や品質の安定が難しいですが、
逆を言えば、ウイスキーの様々な個性を最もつくり出す製法でもあるんですね!
なお、モルトウイスキーにも幾つかの種類があるのでご紹介します。
1-1.シングルモルト (Single malt)
◆シングルモルトとは、モルトウイスキーという種類の中でも、「同一(一箇所の)蒸溜所のモルトウイスキーだけを使い、他のウイスキーとブレンドせず、特殊なものを除き、度数のみ調整(水を添加)、瓶詰め、出荷されるもの」のみをシングルモルトウイスキーと呼びます。複数の蒸留所の原酒を混ぜて飲みやすくしたブレンデッドウイスキーとは違い、蒸留所の土地や水などによって個性がはっきり現われ、豊かな味わいが最も出る製法です。
なお、同一蒸溜所で造られるため、その地方の名前が、そのままウイスキーの名前になることが多いですね。
世界的シェアで見れば、ウイスキー全体の1割にも満たないこの「シングルモルト」(9割程度が「ブレンデッドウイスキー」)ですが、コアなファンは多く、
中でも、最近では、国産のシングルモルトも人気です。※ちなみに!このサイトは、基本的にこの「シングルモルトウイスキー」を中心につくっています!
1-2. シングルカスク (Single cask)
◆「カスク=樽」。 ひとつの樽の原酒のみを瓶詰めした場合は、シングルカスク(もしくは、シングルバレル)と呼びます。
シングルカスクは、通常は店頭では販売されることが少なく、蒸留所での限定販売、特別販売限定であることが多いため、瓶に樽のシリアルナンバーが
打たれていることもよく見かけます。また、シングルカスクの種類の中には、度数調整しない(加水しない)樽出し「カスクストレングス」というものもあり、
通常のシングルモルトでは、味を均一化させるために、蒸留所で造られた複数の樽のウイスキーをブレンドして加水し、40度前後に薄めることが殆んどですが、
カスクストレングスは、加水をせずにそのままの状態(樽出し直の原酒)で出荷するため、度数も60度ほどあるという種類のウイスキーです。
1-3.クォーターカスク (Quarter cask)
◆ひとつの樽で一定期間熟成した原酒を、通常の樽に比して1/4 (quarter)サイズの種類の樽に詰め替えて、熟成を続けたシングルモルトを
クォーターカスクと呼びます。小さな樽へ詰め替えることで、樽に触れる表面積が増え、その分、樽の風味が良く移り熟成も早いんですね。
1-4.ヴァッテッドモルト (Vatted malt)
◆複数の蒸留所(種類)のモルト原酒を混ぜ合わせたものを呼びます。
主に、ブレンデッドウイスキー用にグレーンウイスキーとともにブレンドされる原料モルトウイスキーのひとつとなります。
その場合、「ピュアモルト(Pure malt)」や「ブレンデッドモルト(Blended malt)」 などと表示されることが多く、
稀に「ヴァッテッド(Vatted)」」と表示されている種類のものあるそうです。
2.グレーンウイスキー 【Grain whisky】
◆グレーンウイスキーとは、大麦麦芽(モルト)のみでない穀物の種類が原料となります。
トウモロコシや小麦、大麦などを蒸して粥状にし、そこに発芽大麦を(多くは15%程度)加えて糖化後、
酵母を加えて発酵させて造っていきます。
連続式蒸留機やケトルと呼ばれる大型の単式蒸留器による蒸留を経るため、モルトウイスキーに比べ、香味に乏しく、
通常はブレンデッドウイスキーに加えられ、風味を和らげる役目を果たします。
単体で瓶詰め、シングルグレーンとして出荷されるケースは本当に稀なケースですね。
3.ブレンデッドウイスキー 【Blended whisky】
◆複数の蒸留所のモルトウィスキーとグレーンウイスキーをブレンドして
再貯蔵(マリッジ)させた種類のものをブレンデッドウイスキーと呼びます。
世界で流通しているウイスキーの約9割がこのブレンデッドウイスキーです。
一般的にクセのない飲み易さがブレンデッドウイスキーの特徴。専門の職人「ブレンダー」によりブレンドされます。
中には「混ぜ物をした安物」と捉える方もいらっしゃいますが、値段もシングルモルトと同等以上にする高級品もあるんですね。
また、アメリカでは、アメリカン・ブレンデッドウイスキーとも呼ばれている種類のものもあります。これは、バーボンと同じように、
アメリカでポピュラーなウイスキーですが、カナダで開発され、禁酒法の後、アメリカ市場に広まったウイスキーです。
ストレート・ウイスキーを20%以上に、ウイスキーやそれ以外のスピリッツなどもブレンドOKという種類のウイスキーです。
4.ライウイスキー 【Rye whisky】
◆ライ麦を主原料とするウイスキーのことで、主に北アメリカで生産されますが、カナダとアメリカ合衆国では
それぞれ定義があるようです。アメリカでは、ライウイスキーは法律でマッシュ(原料となる麦芽液)の51パーセント以上が
ライ麦で作られているものと決まっています。
その残りは、主にトウモロコシと麦芽ですが、逆に、カナダではそのような定義はないため、現在のカナダ産のライウイスキーは、
低比率でしかライ麦が入っていないものが多いそうです。これに関しては、好みなのでどちらが美味しい!
というものでもないのでしょうが、一般的な「ライウイスキー」の用語として混乱を招いているのも事実のようです。
また、ライではなく小麦を使ったウイスキーのことを「ウィートウイスキー」と言います。
5.コーンウイスキー 【Corn whisky】
◆コーンウイスキーは、トウモロコシの分量が80%以上のグレーン(穀物)を原料に造られるアメリカ産のウイスキーです。
「コーンリカー」とも呼ばれるそうですが、バーボンウイスキーと似ているようで異なるものです。
(バーボンウイスキーに関する詳細は「Other whisky」を参照ください。)
その特徴は、面白いことに、バーボンもライもウィートウィスキーも2年以上の熟成義務があるにも関わらず、
コーンウイスキーには熟成させる義務がないんですね。これは、バーボンと区別で出来るようにと言われていますが、
たしかにそうですよね。例えば、トウモロコシの割合最大80%のバーボンと、最低80%のコーンとでは
見分けがつかないですもんね。
また、バーボンとの大きな違いは、コーンウイスキーを熟成する場合には、チャー(焼くこと)していないアメリカンバレルを使用しなければいけません。
そして、熟成期間も半年程度と短い期間で、色と風味がつき、まろやかな味わいのウイスキーへとなっていくわけです。
————————————–
–ちなみに–
ウイスキーではありませんが、その他の種類の洋酒を触りだけ・・・
「ブランデー」
◆ワインを蒸留し、熟成させたもの。語源はオランダ語の「ブランデ・ヴェイン」(焼く、蒸留する・ワインという意味)。
なお、ブランドによって書かれているV.OやV.S.O.Pなどは以下のような意味を持ちます。
「V=Very S=Special O=Old P=Pearl X=eXtra(Extra)」となっており、それぞれ熟成期間を表しているのですが、
一般的な基準としては以下の通りと言われています。
V.O:7年、V.S.O:12年、V.S.O.P:20年、ナポレオン:25年、X.O:50年
「コニャック」
◆フランスの南西部コニャック市周辺で産出されるフレンチオークを使用したブランンデーのこと。
「アルマニャック」
◆フランスのガスコーニュ地方のアルマニャックで産出されるフレンチオークを使用したブランンデーのこと。
「シャンパン」
◆フランスのシャンパーニュ地方で産出される発泡ワインのこと。
「カルバドス」
◆フランスのカルバドス地方で産出される林檎から作った発泡酒のこと。
「グラッパ」
◆イタリア特産の蒸留酒で、ブランデーの一種。ワインを蒸留して造る一般的なブランデーとは違い、
ブドウの搾りかすを発酵させたアルコールを蒸留して造ります。フランスでは「マール」と呼んでいます。