ウイスキーの豆知識

『Did you know? ~ウイスキーに関する豆知識~』

日本人にはビールや焼酎などに比べ、抵抗ありがちなウイスキーですが、
もっと身近に感じてもらいたいなぁ!という思いで作ったページです。
知ったらビックリ!・・・かも(笑)

1.『密造時代がウイスキーの品質向上に?』
2.『ウイスキーは樽が命!』
3.『実は体に良いお酒!?美容効果もあるウイスキーの魅力とは』
4.『誤解されがちなウイスキーのQ&A』

1.『密造時代がウイスキーの品質向上に?』

1707年、イングランドはスコットランドを併合し、財源確保のためスコットランドに対し高額の酒税を課すようになりました。
そこで各地の山奥に隠れてウイスキーの製造するようになりました。これが密造時代の始まりです。
この密造時代は、実に1823年の酒税法の改正まで100年以上にも渡って続きました。(それ以前の話はコチラから。)

しかし、このことがスコッチウイスキーに与えた影響は非常に大きいものがあります。どういうことかと言いますと、
酒税の重圧から逃れるために、スコットランドの住民たちは、人里離れた山奥で、その現地にあったピートを使い、手近にあった
シェリー酒の空樽に「密造ウイスキー」を詰めて、そのまま、徴税人の目につきにくいように渓谷などに隠しました。そして、
時が経ち樽を開けてみると、今まで透明だったウイスキーは琥珀色になり、味も香りもまろやかに変わったと言われています。

また、原料の大麦やピートによる麦芽の乾燥、単式蒸溜機による蒸溜も、そして、この樽による貯蔵という現在のモルトウイスキーの製法はスコットランドの山奥で行われた密造の技術なんですね。もともと、蒸溜直後のモルトウイスキーは無色透明で、味も香りも荒々しいものですが、14~15世紀の頃、スコットランドの家庭では、自家蒸溜したそんな「地酒」が飲まれていました。それから、モルトウイスキーの木樽による貯蔵・熟成の効果が発見され、酒質が飛躍的に向上し始めたのは18世紀に入ってのことですが、こんなきっかけで現在のウイスキーは誕生していったわけです。
まさに重税が課せられた密造時代こそ、モルトウイスキーの恩人かも知れませんね。

2.『ウイスキーは樽が命!』

先程の話からも察しがつくでしょうが、ウイスキーのあの琥珀色は「樽(カスク)」から染み出たものなんです。
だからこそ、同じ蒸留酒でも、ジンやウォッカなどのスプリットは無色透明な訳です。
それだけ、樽の力が大きいことが分かりますね。

例えば、モルトウイスキーの宝庫、スコッチウイスキーは、その殆どが「アメリカンホワイトオーク」という
オーク材(ナラの木)を使用します。ホワイトオークは、比較的に木目が荒く、その分「樽が呼吸をしやすくなる」など言いますが、
風通りが良くなり蒸留酒の熟成に適したものです。ちなみに左図は、樹齢200年のアメリカンホワイトオークです。

しかし、それをアメリカから仕入れるのには理由にもあって、それは、大量にある資材が故のコスト面と、バーボンの製造製法にあります。
バーボンは「新樽のホワイトオークで造ったもの」でなければなりません。これは、オーク樽職人の雇用問題など様々な背景もあるんですが、
どちらにせよ、一度使用した樽は不要な訳です。

それに比べ、スコッチには特に制限はありませんが、
新樽を用いて造っている蒸留所はどこを探しても見当たりません。

・・・もうお分かりの方もいらっしゃるでしょうが、樽熟成の過程で、無色透明なアルコールは
樽のタンニンやポリフェノール等の成分を吸収し、琥珀色のウイスキーへとなります。
しかし、スコッチの場合の多くは、樽熟成に新樽を使ってしまうと、木の成分を受けすぎてしまい
苦味の多いウイスキーとなってしまうんですね。
そこで、スコッチでは、二番樽、三番樽を使用しているんです。
つまり、新樽が必要なバーボンと、二番三番樽が欲しいスコッチ。
こうやって利害関係が生まれてきたわけです。

■■樽が大事ということに、もう一歩踏み込んで・・・■■

先ほど、「樽」が大事ということは申しました。ここでは、ちょびっとだけ、その先のお話。
ウイスキーを知っていくと、その奥深さに楽しさが広がりますが、そのひとつに「樽」というものがあります。
しかし、大事なのは「樽の素材」だけでなく、シェリーカスクなら「シェリー酒」、バーボンカスクなら「バーボン・ウイスキー」まで
知ることでその幅はもっと大きく広がっていくんです![シェリーについて:ウィキペディアより

左図はシェリーの樽熟成の有名な手法で「ソレラシステム」と言います。(クリックで拡大します)
この図のように、樽から少しずつ継ぎ足しの連鎖を繰り返して、どのお酒も均等に出来上がるようにと考えられた手法です。
樽の置かれる高さ、温度や湿度、樽の大きさ、管理方法によって、同じお酒でも大きく変化するところは、
ウイスキー同様、「樽」のパワーをガンガンに感じてしまいます。

こうやって、ウイスキーを知りたいからウイスキーを勉強する。だけでは、もったいない世界があって、
「樽」は当然のこと筆頭に、シェリーやワイン、水など、ウイスキーの周りには、ウイスキーを100倍楽しく
させてくれる要素が詰まっているんですね!

てな感じで「まとめ」・・・というか、ここで何が伝えたいかと言いますと、
「ウイスキー」は、その製造段階によってビールやワインなどの醸造酒との違いや、ジンやウォッカなどのスピリッツとの違いも知ることが出来ます。
そして、水や樽。そして、使う樽の下ごしらえとしてシェリー酒やバーボンなど、沢山の関係性もある訳ですが、やっぱり、製品としてのウイスキーだけに
目がいきがちです。なので、このように「木ではなく森を見る」感覚で、ウイスキーを知っていくと、その知識の入り方が広がり、楽しさ面白さは、きっと
格段に変わってくる!ということです。

例えば、殆どのスコッチには仄かな硫黄臭を感じます。
実は、これは、アメリカやヨーロッパから樽を輸入する際に、樽が腐らないように、防腐剤代わりとして樽の中に硫黄の成分を入れて輸出しているから
なんです。それだけ、樽は繊細なんだなぁ・・・と、いうことを知っているのと知らないのとでは、テイスティングなどする際の感じ方変わってくるでしょう。
それと同様にシェリーなどでも同じことです。シェリー酒にも、「フィノ」や「オロロッソ」、「アモンティリャード」などなど、
同じシェリー酒でも、風味も味も全く違うんです。これも、ただひとくくりに「シェリー」というだけの知識に留めておくのか
「これは・・・オロロソシェリーだな?」などと感じながら楽しむのとではその幅は大きく変わってきそうじゃないですか?
・・・うんうん、そうだなぁ♪変わってくるかもな!と思って頂けたら最高です!(*゚∀゚)ヤッタゼーーーーー!!!

3.『実は体に良いお酒!?美容効果もあるウイスキーの魅力とは』

ここでは、ウイスキーの魅力について書いてみます。
最近、ハイボールなどで再度注目され出したウイスキーですが、
「アルコール度数が強い」「二日酔いになる」・・・など、思われがちなんです。
がしかーし!実は、ウイスキーはカラダにも良いお酒なんです(*゚∀゚)/オドロキーーー!

糖分やプリン体がほとんどなく、低カロリー。
おまけにポリフェノールが多く含まれている上、
メラニン色素の働きを活発にする「チロシナーゲゼ」という物質を抑制する効果も含んでおり、
実は、美白効果にも良いんです!昔から愛され続けた理由が少しでも伝われば幸いです。

◆ウイスキーにもポリフェノール

「赤ワインは健康に良い」と聞くことがありますが、それは、ワイン(特に赤ワイン)の成分にある「ポリフェノール」。これは、ウイスキーにも
入っています。ウイスキーはオーク樽の中で長い間貯蔵・熟成されながら、樽からゆっくりとポリフェノールが染み出ているんですね。
このポリフェノールは「心臓疾患、脳梗塞の予防効果」「動脈硬化の制御」などの医学的な効果があります。
加えて、ウイスキーに染み込んだ樽材本来の香りは、森林浴のようなリラックス効果も持っているんですね!

◆低カロリー&微糖分

ウイスキーには、糖分が殆ど含まれていません。
同じアルコール量で比べると、ウイスキーは、「ビールの1/250」、「ワインの1/150」、
なんと「日本酒の1/350」です。おまけに、カロリーも、ビールやワインの約25%OFFと大幅に低いんです!

◆ウイスキーのプリン体はビールのたった1/530倍?

プリン体の過剰摂取は高尿酸血症・痛風を引き起こす原因となるといわれています。
しかし、ウイスキーには、そのプリン体がほとんどありません。(画像をクリックすると拡大します)
その量なんと、ビールの1/530!おまけに、ウイスキーには尿酸生成を抑制したり、
尿酸を排出する作用もあるんですよ。まさに健康酒に最適なんです。すごいでしょ?
密造時代を経て、数百年と愛され続けて理由が分かる気がしませんか?・・・なんちゃって(笑)
(※ビールのプリン体有含量の算出方法は、メーカー大手4社・7ブランドの平均値を参考にしています。)

◆美容に良いお酒。それが「ウイスキー」

ウイスキーには、「チロシナーゼ」というメラニン色素の働きを制御する働きがあります。
この、チロシナーゼ抑制の効果は、美白をもたらすと言われているんです!

◆二日酔いにもなりにくい?

ウイスキーは、他のお酒よりも酔い覚めが良いと言われています。そもそも二日酔いは「血中アルコール濃度」に由来するといわれます。
ウイスキーは血中アルコール濃度が上昇しにくいため、適量であればアルコールが抜けやすく、次の日に残りにくい健康的なお酒というわけなんです!

4.『誤解されがちなウイスキーのQ&A』

ここでは、ウイスキーに関する誤解されがちなウイスキーについて、いくつか並べてみました。
「え?ウイスキーってそうなんだ!」みたいな感じで、何かのトリビアにでもなれば嬉しいです。では。

Q.古いものほど美味しいの?

A.そうとは限りません。
味に関しては、人それぞれですが、例えば、同じ蒸留所で造られたモルトウイスキーでも、その製法、材料や熟成環境などによって、
最適な熟成年数も違ってくるものなんです。早熟タイプのウイスキーは、溌刺とした香味があり、ゆっくりと熟成するウイスキーには、
落ちついた香味がある。みたいに、それぞれの蒸留所で、プロのブレンダーによって保持されているんですね。

Q.価格が高いものほど美味しいの?

A.必ずしもそうと言えないように思います。
基本的には、上記の答えと同じです。たしかに、高いものの方が、古いし、レアと呼ばれるケースも多いわけですが、味に関して言えば、
早熟タイプが好きな方も居ますし、グレンフィディックやグレンリベットのように生産量が故に安く手に入るけど、しっかりした味わいのものあるので、
やはり、最終的には、自分の好きな1本を見つけたいし、みなさんにも見つけて楽しんでもらいたいですね!

Q.10年前に買った、まだ封を開けていない10年もののウイスキー。じゃあ今は20年もの?

A.残念ながらそうではありません。
ウイスキーは樽熟成のため、ウイスキーはビンの中では熟成しません。むしろ、保管環境が悪ければ、味落ちしますので気をつけてくださいね。

Q.ウイスキーもワインみたいに温度管理が大変なの?

A.正直、ワインほど難しいものではありません。
ワインクーラーなどがあれば最適ですが、ウイスキーは(50℃近くに蒸しあがる室内とかまでいけば別ですが)、温度はさほど問題ないようです。
むしろ温度よりも光の方が問題で、直射日光が当たらなくても、反射光などでも劣化するので、箱などに入れて遮光すると良いでしょう。

Q.テレビでも雑誌でも見るけど、やっぱウイスキーは「ロック」?

A.個人的にはオススメしません。
と言っても、TPOに合わせた飲み方で楽しんでもらえれば良いわけですが、最もウイスキーの味がわかる飲み方をお教えさせて頂きます。
それは、「ウイスキー1に対して水1、氷はなし」という「トワイスアップ」という飲み方です。プロのブレンダーこの飲み方で確かめますが、
加水する(水で薄める)ことで、ストレートの時にはなかった別の香りが開いて、アルコールの刺激が和らぎ、本来の味がよく分かります。
よかったら、「トワイスアップ」と「ロック」で飲み比べてみてください。風味やアフター・テイストの違いは一目瞭然ですよ。

Q.「10年もの」って、樽で熟成していた期間が10年ってこと?

A.そうです。
しかし、ラベルに表示する酒齢は、ブレンデッドウイスキーなどの、複数の原酒を混ぜて造る際には、
ブレンドされた原酒の中で最も若いウイスキーの熟成期間でなければならないんです。
なので、例えば「シーバスリーガル18年」なら、厳密言えば「18年もの」ではなく、「18年以上もの」ということになるんです。
酒齢の平均期間は通常、表示されている年数より長いことが、実は案外多いんです。